【報告】フェアトレードタウンの視察 in 名古屋市

ユネスコ活動費補助金 平成30年度グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業に、北海道大学環境科学院が中心となり「札幌-道央圏ESD- SDGsコンソーシアム」として採択されました。本事業において、RCE北海道道央圏も一定の事務局機能を果たすことになっています。この事業の一環として、ユネスコスクールである市立札幌大通高校が中心となり【フェアトレード教材づくり】を進めています。この取り組みに関連し、2018年7月6日(金)から8日(日)の2泊3日で、大通高校の教員2名(佐藤先生、西野先生)、生徒2名(遊語部の部長、副部長)、コンソーシアムコーディネーター(RCE北海道道央圏協議会事務局長・有坂)の5名で2015年に日本で2番目のフェアトレードタウンとなった名古屋市を視察してきました。簡単ですがご報告します。

 

<1日目>

愛知県立愛知商業高校のユネスコクラブの皆さん、アイスクリーム製造業【(株)ぷらんぽん】の小川社長にお会いし、お話を伺いました。ユネスコクラブさんは都市型養蜂を実践され、復興応援として、ぷらんぽんさんの協力の下、高校のハチミツと陸前高田市米崎りんごを使ったアイスを商品開発しました。さらに、ガーナ産カカオと高校のハチミツを使ったフェアトレードアイスも開発し、名古屋市のフェアトレードタウンの活動にも参加されているということでした。

ぷらんぼんの小川社長は、「後々の世代のために現在がある。企業の姿勢として、社会のため、世界のために僅かでもやれることをやる。高校生は動きが早いし、アイデアが良い。今では家族のような付き合いで、それが楽しい」とおっしゃっていたことが印象的でした。

大通高校も都市型養蜂によりハチミツを生産しています(ミツバチプロジェクト)。ちなみに、今回のユネスコ事業で、札幌のチョコレート製造業者さんと共に大通高校産ハチミツとフェアトレードのカカオ豆を使ったフェアトレードチョコレートの開発を教材化する予定です。サプライチェーンの仕組み、商品にどれだけの人が関わっているのか、そこにどれくらいのコストがかかるのかなどを実感できるものにすることを目指しています。

 

<2日目>

最初の訪問先は、NPO法人わっぱの会が運営する【ソーネおおぞね

地域のための総合店舗として今年4月にオープン。 カフェ・レストラン、地元産の小麦粉“ゆめあかり”も使用したパンの販売、資源買い取りセンターなどがあります。 カフェでは、第三世界ショップのフェアトレードコーヒーを出しています。店長の坪内さんは、「フェアトレード商品より、障害を持つ人の働く場を提供できるような商品を中心に置くようにしています。支援する・されるではなく、ここで働く人みんながあって成り立っています。」とおっしゃっていました。福祉の現場の可能性と課題を同時に見せていただき、参考になることだらけでした。

2カ所目は、【フェアトレードショップ風 ’’s 】

なんと、本屋さんの中にお店がります。名古屋発のオリジナル商品やフェアトレードのお中元セットなど、アイデア溢れる老舗です。店主の土井さんは不在でしたが、スタッフの方にお茶を出していただきながら、オリジナル商品の説明や取り組みについて意見交換させていただきました。札幌では見たことの無い商品が取り揃えられていて、そのコンセプトや背景などは興味深いものでした。

 

3カ所目は、やはり老舗の【フェアトレード&エコショップ オゾン】

店長のご主人・杉本さんに、名古屋市がフェアトレードタウンになるまでの道のりや東ティモールやネパールにおける国際協力のお話を伺いました。東ティモールの“タイス”と呼ばれる伝統的な布を使った製品が目を引きました。名古屋がフェアトレードタウンになるにあたって、学生たちを中心に名古屋駅前で「市民100人に聞きました」というフェアトレードに関するアンケート調査やフェアトレード月間でのパレードなどを実施したとのことでした。また、フェアトレードの活動をしている学生さんが卒業した後も活動できる場を作っているという話は、なるほどと思いました。

4カ所目は、【アフリカ雑貨&カフェギャラリー バオバブの木

タンザニアの“ティンガティンガ”村の絵画やフェアトレード商品を販売。店長の神田さんのお姉様がご主人と共に30年タンザニアのザンジバルに住んでいるとのこと。ティンガティンガのアーティストの作品を日本に紹介するため、大阪に(株)バラカを設立し、そこの商品を主に扱っていらっしゃいます。神田さんは、「誰もが居心地の良い場所づくり」を目指して、地域活性化にも貢献したいとおっしゃっていました。

 

<3日目>

最終日の最初に訪れたのは、【エシカル・ペネロープ(株)

エシカル・ペネロープ(株)の代表をされている原田さとみさんにお話を伺いました。原田さんは、名古屋市におけるフェアトレードタウン推進組織であるNPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)代表理事でもあります。「広く広くみんなを巻き込んで。多くの人に関りを持ってもらえるように、すべての関係者がそれぞれメリットが持てるような取り組みを作っていくことが大切ですよ」と原田さん。また、様々な商品をどうやってコラボして生み出してきたか、「フェアトレード」と「エシカル」の共存などについて話しをしてくださいました。華やかで、パワフルな引力と牽引力を感じました。

2件目は、【パタゴニア名古屋】へ。

札幌でのフェアトレード推進事業において、【パタゴニアアウトレット札幌南】と【パタゴニア札幌北】の皆さんと共に動いておりますので、ご挨拶に行って来ました。名古屋のパタゴニアの方たちも積極的にフェアトレード推進に関わっていらっしゃるようで、さらに札幌の動きについて情報共有していただいているとのことでした。北海道の動きが名古屋にも伝わっていて嬉しかったです。

 

 

 

 

3件目は、JICAなごや地球ひろば内にある【フェアビーンズ】へ。

フェアビーンズは、2009年にJICAなごやができた時からお店が併設されていたそうです。ちなみに、JICA北海道(札幌)もレストラン改装に伴って、今年からフェアトレード商品のコーナーが設けられました。名古屋や愛知県関わるフェアトレード商品の扱いも多く、愛知県でフェアトレードの活動をされている協力隊OGの方たちの商品もありました。例えば、アフリカで原材料を作り、その原料を使って障害のある方たちが製品に仕上げるというアフリカでも名古屋でも職を生み出すような取り組みなどがあるそうです。ちなみに、カフェ・クロスロードでは愛知商業高校と地元企業ぷらんぼんが協働で開発したアイスクリームを提供していました。

 

今回の視察は、大通高校のフェアトレード教材づくりに関わるものでしたが、昨年度から始めている当協議会の「フェアトレード推進プロジェクト」の一環である「フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議」の取り組みの参考とするためのものでもありました。戦略会議では、来年中にも札幌市としてフェアトレードタウンの認証を取得することを第一歩として、フェアトレードを通じた持続可能な開発を進めていこうとしています。フェアトレードの取り組みを進めることは、「国連 持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた具体的な実践です。名古屋の皆さんにはたくさんのアイデアを頂きました。そして出会った皆さんが、札幌市がフェアトレードタウンになることを応援してくださっています。今回は、かなり背中を押して頂きました。ありがとうございました。

(事務局長:有坂美紀)

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