【ご報告】フェアトレードイベント「バレンタイン一揆」無料上映会&トークイベント

2019年2月3日(日)、札幌プラザ2.5(札幌市中央区)にてフェアトレードイベント「バレンタイン一揆」無料上映会&トークイベント(主催:JICA北海道、共催:RCE北海道道央圏協議会)を開催いたしましたので簡単ですが、ご報告いたします。

2月14日はバレンタインデー。世界中でチョコレートの消費が爆発的に増える時期です。聞くところによると、日本で一年間に消費されるチョコレートのうちの6割が1~2月の二か月間に集中するとのこと。そこで、チョコレートを買う前にちょっと立ち止まっていただき、チョコレートをめぐる世界の課題を知っていただき、具体的な行動のキッカケとなるような機会をJICA北海道、フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議の関係者と共に開催することとしました。
日時:2019年2月3日(日)14時~16時30分(開場:13時30分)
会場:札幌プラザ2.5(札幌市中央区南2条西5丁目 狸小路商店街内)

<プログラム>
★第一部:映画「バレンタイン一揆」上映会
この映画は、NPO法人ACE 設立15周年記念ドキュメンタリーとして制作されたものです。チョコレートの原料、カカオ豆をどこで誰がつくっているのか…。日本の女子学生3人がガーナで児童労働の問題と出会い、悩み、闘った物語。ガーナ・カカオ農園の問題を知り、行動を始めた日本の普通の女の子の活動に焦点を当てた映画です。世界の課題を“ジブンゴト”へ引き寄せ、『Think Globally, Act Locally』を実践していく過程がとても分かりやすく、ガーナの村の人々との交流によって変わっていく姿が爽やかに描かれていると感じました。

「ガーナの子どもたちのような顔で、日本の子どもたちも夢を語れるだろうか」
「この学校には壁はないけど、とても良い風が流れている」
「貧困だから学校に行けないんじゃない。貧困から抜け出すために学校に行くんだ」
などの言葉が彼女たちの口から語られていき、帰国後に早速行動を移す彼女たちの姿に心を揺さぶられます。
予告映像はこちら↓


※ 教育を目的とした学校内での授業や行事で映画、自主上映会なども可能とのことですので、関心を持っていただいた方はACEにお問合せください。

 

★第二部:トークイベント~フェアトレード、わたしたちにできること~
映画「バレンタイン一揆」を制作したACEでガーナプロジェクトを担当する近藤さんと、札幌でフェアトレードチョコレートを題材にした教材開発などに取り組む市立札幌大通高校教諭で当会の運営委員でもある佐藤さんをパネリストにお招きし、まずはそれぞれのパネリストに簡単に活動紹介をしていただきました。
進   行:有坂美紀(フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議/RCE北海道道央圏協議会 事務局長)
パネリスト:近藤 光(認定NPO法人ACE ガーナプロジェクトマネージャー)
佐藤 千恵子(市立札幌大通高校 教諭)

<近藤さんのお話>
ACEは、児童労働をなくすことを目的に、ガーナでは子どもの保護・教育、企業連携、政策提言などを実施しています。世界全体の児童労働者数は減少傾向にある一方で、アフリカでは増えているのが現状です。私たちが活動を行っている地域では児童労働はなくなっているが、私たちがいなくなると児童労働が再発するという課題があります。チョコレートはカカオを生産してくれる人がいるから私たちの手に届く。私たちがフェアトレード商品を選ぶことによって彼らの生活が改善されていく。支援する・されるではなく「お互い様」ですよね。ガーナでは、JICAのプロジェクトによって稲作が進められています。米づくりはカカオを生産するより割がいいので、カカオを適正な価格で買わなければチョコレートが食べられなくなる日がくるかもしれません。
ACEの活動によって生産されたフェアトレードのカカオを使った商品が、20アイテムまで増えています。札幌では、Saturdays Chocolateで使われています。商品の裏側を見てどんな商品か知る、あるいは、お店の人に直接産地や作られた背景を聞くというように、“積極的”に商品を買うようにしてほしいですね。

<佐藤さんのお話>
大通高校ではこれまで、16カ国70名の外国籍の生徒を受け入れてきました。三部制の定時制と取っており、とても多様性のある学校です。
外国籍の生徒が主に参加している「遊語(ゆうご)部」では、フェアトレードの考え方によって世界中の子どもたちが学校に通えるようになるのではと、フェアトレードに関わる様々な活動を行っています。ACEさんの教材も使っていますよ。「おいしいチョコレートの真実」をつかったワークショップ、絵本「とりがおしえてくれたこと~こどもにつたえるフェアトレード~」を読むなど。
実践としてフェアトレードショップ「みんたる」さんから仕入れたフェアトレード商品をイベント時に出張販売し、売り上げの10%を世界の学校に通えない子どもたちの支援として北海道ユネスコ協会へ寄付しています。今年度は、高校で作っているハチミツとフェアトレードチョコレートを掛け合わせたフェアトレード商品の開発などを実践を通して生徒たちは楽しく学んでいます。
先進国が途上国の課題をより複雑にしているように思います。このままでは、国際“協力”ではなく、“支援”ですよね。

また、進行役の有坂からは当会の協働プロジェクトである「フェアトレードタウン推進プロジェクト」についてご紹介しました。札幌市では、フェアトレード推進に係る活動が全国的にも古くから行われています。持続可能なより良い社会を実現していくために、長年フェアトレードに取り組む市民団体、札幌市、企業、教育機関などを巻き込み、札幌市全体としてフェアトレードを普及していくプロジェクトの一環で「フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議」を2017年9月に立ち上げました。様々な関係者の努力の結果、札幌市は10月31日にフェアトレードタウン推進を市議会で議決し、11月に秋元札幌市長によってフェアトレード推進が宣言され、今春には国際認証である「フェアトレードタウン」になれるところまできています。

会場からは、「ガーナでカカオを生産するだけでなく、チョコレートを作って地元で消費する方が、人々の生活だけでなく環境にも良いと思うのですがどうなのでしょうか?」という質問をいただき、近藤さんから「確かに地産地消はいいですよね。ただ、チョコレートの場合、南北の問題を非常に分かりやすく表している商品でもあるんです。チョコレートは熱いと溶けますよね?つまり、ガーナでの生産や流通、販売にはまだまだ難しい状況にあり、北にある先進国で作って消費されるという構造になっています」との説明がありました。
この質問を受けて、「地産地消を基本としながら、地域外のものが必要な時はフェアな商品を購入するようにすることが大切ではないでしょうか」、「児童労働など労働に関わる問題は、例えばブラック企業という言葉があるように日本にもあります。日本できちんとした労働環境が整備されず低賃金になれば、原料をつくる国々の労働力も安く買いたたかれ児童労働はなくなりません」「私たち自身の暮らしを考えることが、まさに国際協力になるのではないでしょうか」「SDGs(国連 持続可能な開発目標)への関心が市民団体だけでなく行政、企業など社会全体として高まっている中で、フェアトレードへの対応も求められています」などの意見が交わされました。

★第三部:SDGsソング ミニライブ
JICA北海道のスタッフである野吾さんによるSDGsについて簡単な説明があった後、SDGsソングがライブで披露されました。

また、会場に併設されたフェアトレード商品販売ブースでは、以下の団体が出展してくださいました。
札幌VO
環境友好雑貨店これからや
ほっかいどうピーストレード
フェアトレード雑貨&レストラン「みんたる」
・フェアトレードアクセサリー工房colors

2月3日は多くのイベントが開催されていましたが、その中でもフェアトレードに関心を持っていただき、足を運んでくださった皆さん、どうもありがとうございました。また、今回のイベント開催にあたり、多くの方々のご協力をいただきましたことに感謝申し上げます。

(文責:事務局長 有坂美紀)

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